建築基準法51条許可申請とは
廃棄物特定施設(産廃施設:15条、一廃施設:8条)を設置する場合、都市計画で最初から決まっているわけではないので、都市計画上支障がないかどうかを都市計画審議会で審議したうえで、特別に立地を認めようとするものものです。廃棄物特定施設の許可を取得するためには不可欠の手続です。
・建築基準法第51条
都市計画区域内においては、卸売市場、火葬場又はと畜場、汚物処理場、ごみ 焼却場その他政令で定める処理施設の用途に供する建築物は都市計画においてその敷地の位置が決定しているものでなければ、新築し、又は増築してはならない。ただし、特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合又は政令で定める規模の範囲内において新築し、若しくは増築する場合においては、この限りでない。
立地条件
51条許可を取るには、十分な準備が必要です。その最たるものは、立地条件です。工業地域や工業専用地域※なら有利ですが、必ずしも安心はできません。それは、地元市町村の都市計画との整合性が問題になるからです。 また、反対に市外化調整区域なら許可が難しいかというと絶対にだめとは断定できません。土地を入手するまえに、事前に関係自治体 (都道府県、市町村) などに事前相談し、許可の見通しを見極めることです。
工業地域、工業専用地域の特例(建築基準法施行令第130条の2の3第3号)
例えば、がれき類の破砕の場合、1日の処理能力が5t/日を超えても、100t/日以下なら建築基準法51条但し書き許可は不要、 というように、一部緩和されます(廃掃法15条許可は必要です)。
処理施設の分類 |
規 模 |
廃掃法15条施設と工業工専地域の特例 |
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第1号 | 汚泥の脱水施設 | 処理能力10m3/日を超える | 処理能力30m3/日以下 | |
第2号 | ア)汚泥の乾燥施設 | 処理能力10m3/日を超える | 処理能力20m3/日以下 | |
イ)汚泥の天日乾燥施設 | 処理能力100m3/日を超える | 処理能力120m3/日以下 | ||
第3号 | 汚泥の焼却施設 |
次のいずれかに該当するもの イ)処理能力5m3/日を超える ロ)処理能力200㎏/h以上 ハ)火格子面積2㎡以上 |
処理能力10m3/日以下 | |
第4号 | 廃油の油水分離施設 | 処理能力10m3/日を超える | 処理能力30m3/日以下 | |
第5号 | 廃油の焼却施設 |
次のいずれかに該当するもの イ)処理能力1m3/日を超える ロ)処理能力200㎏/h以上 ハ)火格子面積2㎡以上 |
処理能力m34/日以下 | |
第6号 | 廃酸・廃アルカリの中和施設 | 処理能力50m3/日を超える | 処理能力60m3/日以下 | |
第7号 | 廃プラスチック類の破砕施設 | 処理能力5t/日を超える | 処理能力6t/日以下 | |
第8号 | 廃プラスチック類の焼却施設 |
次のいずれかに該当するもの イ)処理能力100㎏/日以上 ロ)火格子面積2㎡以上 |
処理能力1t/日以下 | |
第8号の2 | 木くず、又はがれき類の破砕施設 | 処理能力5t/日を超える | 処理能力100t/日以下 | |
第9号 | 金属等又はダイオキシン類を含む汚泥のコンクリート固型化施設 | すべての施設 | 処理能力4m3/日以下 | |
第10号 | 水銀又はその化合物を含む汚泥のばい焼施設 | すべての施設 | 処理能力6m3/日以下 | |
第11号 | 汚泥、廃酸又は廃アルカリに含まれるシアン化合物の分解施設 | すべての施設 | 処理能力8m3/日以下 | |
第11号の2 | 廃石綿等又は石綿含有産業廃棄物の溶融施設 | すべての施設 | ||
第12号 | 廃PCB等、PCB汚染物又はPCB処理物の焼却施設 | すべての施設 | 処理能力0.2t/日以下 | |
第12号の2 | 廃PCB等又はPCB処理物の分解施設 | すべての施設 | 処理能力0.2t/日以下 | |
第13号 | PCB汚染物又はPCB処理物の洗浄施設又は分離施設 | すべての施設 | 処理能力0.2t/日以下 | |
第13号の2 | 上記第3号、第5号、第8号、第12号以外の焼却施設 |
次のいずれかに該当するもの イ)処理能力200㎏/h以上 ロ)火格子面積2㎡以上 |
処理能力6t/日以下 | |
第14号 | イ)遮断型最終処分場 | すべての施設 | ||
ロ)安定型最終処分場 |
すべての施設 (水面埋立地を除く) |
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ハ)管理型最終処分場 | すべての施設 |
・許可取得期間
年に3~4回の都計審に合わせて準備を進め、計画開始から都計審までに早くても約一年、その後施設を建築して、産業廃棄物許可を取って稼動するまでにはさらに半年~一年以上、合計2年はかかるのが普通です。また、建築基準法だけでなく、関係する法令(もちろん廃掃法を含む)全てにおいて適法であることを求められますので、その中で一つでも抜けていればさらに時間がかかります。事前の調査や、窓口への確認とともに、申請者、建築士、機械 メーカー、建設業者等、計画に関わる方たちが情報を共有し、協調して当たることが
大切です。行政書士の役割は、書類作成はもちろんですが、一日も早く、正確に許認可を取得し、新規事業を開始するための書類作成業務を行います。
・手続きの進め方
行政庁(都建築指導課)が51条但書許可を受理⇒ 設置する市区町村に意見照会⇒ 市区町村都市計画審議会← 市区町村から特定行政庁へ回答
行政庁⇒ 都市計画課へ付議依頼 ⇒ 都市計画審議会51条但書許可 ←承認