会社設立
●会社の事業目的一覧
●会社の定款記載例
●定款の認証
●会社設立簡易フローチャート
☆株式会社設立登記申請書
株式会社を設立するには、まず1人以上の発起人の全員によって定款を作成し、その定款について公証人の認証を受け、株式の引受け、申込み及び払込み、設立時取締役の選任、調査報告、必要に応じ創立総会等の手続きを経て最後に管轄法務局に設立の登記をすることによって成立し、法人格を取得する。
●資本金の額
旧商法では、株式会社の最低資本金は、1,000万円以上とされていましたが、会社法ではこの最低資本金制度は廃止され、発起人全員の同意により会社の資本金に関する事項を定めることとされました。つまり、金額について特に制約はありません。
●商号と目的について
会社法では、類似商号の禁止制度が廃止されましたので、商号と本店の所在地とがともに同一でなければ、商号が既存の会社と同一又は類似のものであっても、登記することが可能です。ただし、不正の目的をもって、他の会社と誤認させる商号を使用することは禁止されています。
なお、会社の目的が具体的かどうかについては、従来と異なり、登記申請に際しては審査されないが、目的の記載内容によっては、官公庁への届出や取引などで不都合が生じることもありますので、十分注意が必要です。
●設立の方法
株式会社の設立の方法として、発起設立と募集設立の2種類があります。
・発起設立
発起設立は、発起人が会社の設立に際して発行する株式の総数の全部を引き受ける方法によるものです。こちらの方が、一般的に使われています。
・募集設立
発起人が会社の設立に際して発行する株式の総数の一部だけを引き受けたときは、その残余の株式を発起人以外の一般から募集しなければなりません。この方法によることを募集設立といいます。
●設立手続の流れ (発起設立の場合)
①会社の目的、商号、本店所在地、資本金の額などを記載した会社の根本ルールである定款を作ります。
②株式の発行事項(引き受ける数、金額)などを決め、発起人が株式全部を引き受けます。
③発起人は引き受けた株式に応じて、金銭などを払い込みます。
④発起人は、取締役や監査役などの役員を選任します。
⑤取締役や監査役などの役員によって、会社財産が整っているかどうかがチェックされます。
⑥最後に、設立登記をして会社が成立します。
●フロー
1.商号・目的・本店所在地の決定
2.定款・議事録の作成、会社の印鑑の作成
・株主(発起人)と資本金の決定
・発行可能株式総数(設立時発行株式数)
・役員の選任
・営業年度の決定
・公告の方法
3.公証人による定款認証 (認証費用5万円、定款印紙税4万円)
4.金融機関による資本金払込保管証明書の発行
(預金通帳の写し等で代用できる場合があります)
5.設立登記 (最低額15万円、資本金の額の1,000分の7)
●定款
書面に記載して作成することもできますし、電磁的記録として作成することもできます。定款は、発起人が署名または記名押印し、公証人の認証を受けます。電磁的記録によって作成した場合には、発起人は電子署名を行います。
部数は3部(登記申請用、会社保存用、公証人役場の保存用)が必要です。
・定款の記載事項
①記載を欠くと定款全体が無効になる「絶対的記載事項」。
②記載を欠いても定款自体の効力に影響はしないが、記載しないとその事項の効
力が認められない「相対的記載事項」。
③定款外で定めても効力をもつ「任意的記載事項」があります。
・絶対的記載事項
・会社の目的
・会社の商号
・本店の所在地
・設立時の出資額またはその最低額
・発起人の氏名及び住所
・発行可能株式総数
(会社法では、発行可能株式総数は設立登記時までに定めればよいことになって
います)
・相対的記載事項
・いわゆる変態設立事項
・株主総会、取締役以外の機関の設置
・株式の譲渡制限
・単元株式の導入
・取締役の任期の伸長または短縮
・監査役の任期伸長
・基準日の設定
・取締役会の書面決議 など
・任意的記載事項
・定時株主総会の開催時期
・株主総会の議長
・事業年度の定め など
●定款の認証
定款の認証は公証人が行います。設立しようとしている会社の本店所在地を管轄する法務局又は地方法務局に所属する公証人に依頼しなければなりません。
定款は、同じものを3通用意します。1通は、そのまま公証役場に保存されます。また、1通は、登記申請の際に法務局に提出します。そして、もう1通は会社で保存されることになります。定款以外に、発起人全員の印鑑証明書も用意します。
認証手数料は5万円です。また、定款の原本に4万円の収入印紙を貼付することになっています
登記の申請は、発起設立の場合は、本店の所在地においては、①設立時取締役等による調査が終了した日、または②発起人が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内にしなければなりません。
・申請人
登記の申請は、会社を代表すべき者の申請によってします。
・添付書類
① 定款
定款の謄本に公証人の認証を受けたものを添付します。
②設立時取締役及び設立時監査役の選任を証する書面
定款で定められていない場合のみ
③定款に変態設立事項の記載又は記録があるときは、次に掲げる書面
イ、検査役又は設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査役設置会社である
場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役)の調査報告を記載した書面
及びその附属書類
ロ、現物出資財産が検査役の調査を必要としない有価証券の場合には、その市場
価格を証する書面
ハ、現物出資財産の価格が相当であることについて弁護士などの証明を受けた場
合には、その証明を記載した書面及びその附属書類
④検査役の報告に関する裁判があつたときは、その謄本
⑤払込みがあったことを証する書面(発起設立の場合)、または払込金保管証明書
金融機関から交付を受けた「払込金受入証明書」がこれに該当します。 ただし、
発起設立の場合は、出資金を払い込んだ預金通帳のコピーと、設立時代表取締
役の作成した払込取扱機関に払い込んだ金額を証明する書面(払込があったこと
の証明書)とを併せたものでもさしつかえないとされています。
⑥株主名簿管理人を置いたときは、その者との契約を証する書面
⑦設立時取締役が設立時代表取締役を選定したときは、これに関する書面
⑧
設立時の取締役・監査役・代表取締役の就任を承諾したことを証する書面
⑨設立時取締役又は設立時代表取締役の印鑑証明書
代表取締役の設置の有無を問わず、取締役会非設置会社においては、設立時取
締役の就任承諾書に押印した印鑑につき、市区町村長の作成に係る印鑑証明書を
1通添付します。 取締役会設置会社である場合は、代表取締役の就任承諾書に
押印した印鑑につき、市区町村長の作成に係る印鑑証明書を1通添付します。
⑩資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する
書面資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことが確
認できる、設立時代表取締役の作成に係る証明書です。
なお、商業登記規則第61条第5項で添付することとされているこの書面は、株式会
社及び合同会社がする会社設立の登記(出資に係る財産が金銭のみである場合
に 限る。)並びに合同会社がする資本金の額の増加による変更の登記(社員が出
資の履行をした場合であって、出資に係る財産が金銭のみである場合に限る。)の
申請書には、当分の間、その添付を省略できることとされました(法務省民商第91
号通達)。
・課税標準金額
資本金の額を記載します。
・登録免許税
資本金の額の1,000分の7で、その金額が15万円に満たない場合は15万円となり
ます。
株式会社設立登記申請書
1.商 号 ○○商事株式会社
1.本 店 ○県○市○町○丁目○番○号
1.登記の事由
平成 年 月 日発起設立の手続終了
1.登記すべき事項
別紙のとおり (注)磁気ディスク を添付する場合には
「別添FDのとおり」と記載します。
1.課税標準金額 金 1000万円
1.登録免許税 金 15万円
1.添付書類
定款 1通
発起人会議事録 1通
就任承諾書 4通
印鑑証明書 1通
払込みがあったことを証する書面 1通
資本金の額の計上に関する証明書 1通
上記のとおり、登記の申請をします。
平成 年 月 日
○県○市○町○丁目○番○号
申請人 ○○商事株式会社
○県○市○町○丁目○番○号
代表取締役 法務 太郎 ㊞
連絡先の電話番号 00-0000-0000
○○法務局 ○○支局 御中
●会社設立のポイント
・設立に関する基本事項(会社名、事業内容、所在地)を決める。
・2~3週間で設立可能スケジュールを立て作業を進める。
・会社設立関係者に前もって用意するものや設立の流れを説明する。
・会社の印鑑は早めに作る。
・定款と登記書類に記載する事業目的は、事前に公証人役場と登記所の
両方で内容(書き方)を確認する。
・設立書類は、に記載されているフォーマットを少し変え
るだけなので、案作成後、公証人役場と登記所する。
・分からないことは、法務局(登記所)や公証人役場で聞くのが一番確実。
(登記書類は、登記前に法務局の相談コーナーで見てもらうと、間違いを
指摘してもらえる)
※法務局の相談窓コーナーで聞いてたら親切に教えてくれますよ
●株式会社の発起設立の流れ(フロー)
1.発起人の決定
・会社設立の元となる人(発起人)を決定する。
・会社設立の流れや準備するものを予め説明する。
2.会社の基本事項の検討と決定
・商号、事業目的、本店所在地、資本金、役員、営業年度などを決定する。
・株式会社設立事項メモを作成する。(情報共有や書類作成に便利)
3.設立手続きの準備
・法務局で類似商号調査を行う。
・会社の印鑑を作成する。(代表者印、銀行取、角印、ゴム印)
・定款認証や登記に必要な個人の印鑑証明書を準備する。
4.発起人会の開催
・定款の基礎となる事項を決定し、発起人会議事録(発起人決定書)を作成する。
5.定款の作成
・定款3通、委任状1通を作成する。
・事業目的は、公証人と登記所で見解が異なることもあり、定款認証する前に事業
目的を登記所でも確認する。
6.定款の認証
・公証人役場で、公証人により定款の認証を受ける。
7.出資金の払込み
・代表者の個人の預金通帳に各発起人が払込み金額を振り込む。
・払い込んだことを証明するために、その通帳のコピーをとる。
8.会社設立に必要な書類と登記申請書の作成
・就任承諾書、発起人決定書、資本金計上証明書、設立時代表取締役選任決議書
(取締役が複数いる場合で、代表取締役を決める場合)を作成する。
・登記申請書、登録免許税納付用台紙、OCR用申請用紙、印鑑届出書を作成
する。
9.会社設立登記の申請
・登記申請日が会社の設立日になる。
・法務局に行き、印紙を買って貼り、窓口で渡す。
・数日後、補正があればすぐに直す。なければ登記完了。
・各種届け出用に、会社謄本と印鑑証明書を取る。
10.登記完了後、銀行や役所等に各種届け出の提出
・銀行に会社の預金口座を開設する。
・税金関連の届け出は、税務署と税事務所に出す。
・社会保険に関する届け出は、年金事務所に出す。
・労働保険に関する届け出は、労働基準監督所とハローワークに出す。